ベルギーの原油タンカー大手のユーロナブ(EURN)について知りたい!
そんな方に向けて書きました。
本記事ではベルギーの原油タンカー大手のユーロナブ(EURN)の会社概要、22Q1業績・財務状況、TCE(定期傭船料)の推移などについて説明します。
原油高騰や旺盛なタンカー需要を受けてタンカー銘柄に注目されている方も多いのではないでしょうか。ご興味ある方はぜひ最後までご覧ください。
なお本記事は、育児をしながら時間を捻出して相応の時間をかけて書いています。
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石油タンカーの基礎知識
基本用語を知りたい方のために、石油タンカーの基礎知識を下の記事にまとめてます。
念のため以下にタンカーの分類など基本的な内容のみ載せておきます(ご存じの方は飛ばしてください)。
石油タンカーとは?
石油タンカーとは、原油・石油製品の輸送を行う船舶のことを言います。
原油・石油製品の輸送を行う船舶のこと
石油タンカーの分類(用途別)
石油タンカーは輸送する商品によって、①原油タンカー、②プロダクトタンカーに大別されます。
- 原油タンカー:原油を輸送する船
- プロダクトタンカー:精製された石油製品(【白物/Clean】ガソリン・灯油、【黒物/Dirty】重油・潤滑油、等)を輸送する船
※タンカーには、石油タンカーの他に特殊タンカー(化学製品を輸送するケミカルタンカー、LNGなどの液化ガスを輸送する液化ガスタンカーがあります。)
石油タンカーの分類(サイズ別)
原油タンカー、プロダクトタンカーにはそれぞれサイズ別の分類があります。
下表は、一般的な原油タンカーのサイズ別の分類です。単位:dwtは積載重量トンを表します。
(※dwt:載貨重量トン Dead Weight Tonnage の略。満載喫水線の限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し引いたトン数。)
Tanker | Typical size(dwt※) |
---|---|
VLCC(Very Large Crude oil Carrer) | 16万-32万 |
Suezmax(スエズマックス) | 12万-20万 |
Aframax(アフラマックス) | 8万-12万 |
Panamax(パナマックス) | 5万-8万 |
下表は、一般的なプロダクトタンカーのサイズ別の分類です。
Product Tanker | Typical size(dwt※) |
---|---|
LR2 | 8万-12万 |
LR1 | 5.5万-8万 |
MR/Handy | 2.5万-5.5万 |
タンカーの分類については、出光タンカーのページも分かりやすいので、ご興味ある方はこちらをご覧ください。
EURN まとめ
はじめにまとめです。
- ユーロナブ(EURN)はベルギーに本社を置く、世界的な原油タンカー大手企業。
- 原油タンカー事業、FSO(浮体式貯蔵積出設備)事業の2つを持ち、収益の大部分はタンカー事業で、大型の原油タンカーを多く保有。
- VLCCタンカー 42隻、Suezmax 25隻(2022年5月18日時点、EURN ウェブサイトに記載の総数、新造船など全て含む)
- 2021/12期 (21F通期) の売上高420百万ドル(YoY -66%)、営業利益率-71%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の売上高114百万ドル(YoY +1%)、営業利益率は -28%
- 2021/12期 (21F通期) の営業CFマージンは-6%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の営業CFマージンは -39%
- 定期傭船料(TCE)は1年前と比較して大幅に上昇
- 【Suexmax_Spot】 21Q1:11,500 |➡︎ 22Q1:15,500 |➡︎ 22Q2:19,700 (参考値:途中経過)
- 2022/03期(Q1)の自己資本比率は50%、流動比率192%、固定比率163%、固定長期適合比率90%
- 22年の予想1株当たり配当$0.12、予想配当利回り1.1%(2022/05/17時点)
- 現在の株価は10.91ドル、PER(Fwd)384.6倍(2022/5/17時点)
TCE上昇を追い風に業績も回復しつつあり、今後もタンカーは旺盛な需要が予想されるので魅力的な銘柄と思います。
株価チャートはカップウィズハンドルを形成中で、20年1月・22年4月につけた高値13ドルを突破するかを見守りたいと思います。
ただし、株価も上昇してきており、TCEには多くの要素が影響し変動も大きいので、リスク・リワードを考えながら投資検討をしていきたいと思います。
(投資は全て自己責任です。ご自身の判断と責任でお願いします。)
EURN 会社概要
EURN 基本情報
ユーロナブ(EURN)はベルギーに本社を置く、世界的な原油タンカー大手企業です。
原油タンカー事業、FSO(浮体式貯蔵積出設備)事業の2つを持ち、収益の大部分はタンカー事業で、大型タンカーを多く保有しています。
船舶数(フリート)
船舶数は以下の通りで、VLCCタンカー 42隻、Suezmax 25隻となっています(2022年5月18日時点、EURN ウェブサイトに記載の総数、新造船など全て含む)。
グラフから分かるようにスポット契約が大部分を占めていることが分かります。
業績・財務状況
続いて、業績や財務状況を確認していきます(数値は下記リンク先のEURNのIR資料を基にしています。)
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売上・利益(年次)
年次の売上・営業利益・当期純利益は以下の通りで、2021/12期 (21F通期) の売上高420百万ドル(YoY -66%)、営業利益率-71%と業績は低迷しています。
売上・利益(四半期)
2022/03期(Q1)の売上・利益は以下の通りで、2022/03期(Q1)の売上高114百万ドル(YoY +1%)、営業利益率は -28%と、業績は若干回復しつつあるものの、依然として低迷しています。
定期傭船料(TCE)の推移
EURNの業績にとって重要な定期傭船料(TCE)の推移をグラフ化しました。
定期傭船料(TCE)は、船舶の1日あたりの平均収入実績を算出するために使用される海運業界の指標です。定期傭船料は、航海収入から運河費、燃料費、港費などの航海経費を差し引き、その合計を往復の航海期間(日)で割って算出されます。
2020年前半はコロナの感染拡大で、世界的に石油需要が急減し、世界中の余剰原油の貯蔵が限界に達し、石油タンカーは海洋貯蔵施設としての需要が高まったため、TCEが高騰しています。
その後は下落していましたが、最近の石油の供給逼迫とタンカー需要の高まりを受けて、足元の22Q2の途中経過の数値(参考値)を見るとTCEが上昇してきていることが分かります。
現状の業績は低迷しているものの、もしTCEこのまま上昇・高止まりするようであれば、20Q1-Q3のような好業績が期待できるかもしれません(ただし、TCEには様々な要素が影響し、変動も大きいので注意が必要です。)。
キャッシュフロー・営業CFマージン
年次のキャッシュフローの推移は以下の通りです。2021/12期 (21F通期) の営業CFマージンは-6%、2022/03期(Q1)の営業CFマージンは -39%となっています。
バランスシート(安全性)
2022/03期(Q1)の自己資本比率は50%、流動比率192%、固定比率163%、固定長期適合比率90%となっており、財務的な安全性に問題はなさそうです。
自己資本比率 | 50% |
流動比率 | 192% |
固定比率 | 163% |
固定長期適合比率 | 90% |
安全性の指標が分からない方はこちらの書籍がおすすめ!
配当
22年の予想1株当たり配当$0.12、予想配当利回り1.1%(2022/05/17時点)となっています。
株価
現在の株価は10.91ドル、PER(Fwd)384.6倍(2022/5/17時点)となっています。
20年1月、22年4月に高値13ドルをつけてカップを形成し、いまはハンドルの部分を形成中なので、13ドルを超えてくるか見守りたいと思います。
(※投資は自己責任です。ご自身の判断と責任でお願い致します。)
<リアルタイムチャートはこちら>
EURN まとめ(再掲)
最後にまとめ(再掲)です。
- ユーロナブ(EURN)はベルギーに本社を置く、世界的な原油タンカー大手企業。
- 原油タンカー事業、FSO(浮体式貯蔵積出設備)事業の2つを持ち、収益の大部分はタンカー事業で、大型の原油タンカーを多く保有。
- VLCCタンカー 42隻、Suezmax 25隻(2022年5月18日時点、EURN ウェブサイトに記載の総数、新造船など全て含む)
- 2021/12期 (21F通期) の売上高420百万ドル(YoY -66%)、営業利益率-71%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の売上高114百万ドル(YoY +1%)、営業利益率は -28%
- 2021/12期 (21F通期) の営業CFマージンは-6%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の営業CFマージンは -39%
- 定期傭船料(TCE)は1年前と比較して大幅に上昇
- 【Suexmax_Spot】 21Q1:11,500 |➡︎ 22Q1:15,500 |➡︎ 22Q2:19,700 (参考値:途中経過)
- 2022/03期(Q1)の自己資本比率は50%、流動比率192%、固定比率163%、固定長期適合比率90%
- 22年の予想1株当たり配当$0.12、予想配当利回り1.1%(2022/05/17時点)
- 現在の株価は10.91ドル、PER(Fwd)384.6倍(2022/5/16時点)
TCE上昇を追い風に業績も回復しつつあり、今後もタンカーは旺盛な需要が予想されるので魅力的な銘柄と思います。
株価チャートはカップウィズハンドルを形成中で、20年1月・22年4月につけた高値13ドルを突破するかを見守りたいと思います。
ただし、株価も上昇してきており、TCEには多くの要素が影響し変動も大きいので、リスク・リワードを考えながら投資検討をしていきたいと思います。
(投資は全て自己責任です。ご自身の判断と責任でお願いします。)
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