原油・プロダクトタンカー大手のツァコス(TNP)について知りたい!
そんな方に向けて書きました。
本記事では原油・プロダクトタンカー大手のツァコス(TNP)の会社概要、直近の決算、財務状況、TCE(定期傭船料)の推移などについて説明します。
ご興味ある方はぜひ最後までご覧ください。
なお本記事は、育児をしながら時間を捻出して相応の時間をかけて書いています。
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石油タンカーの基礎知識
基本用語を知りたい方のために、石油タンカーの基礎知識を下の記事にまとめてます。
念のため以下にタンカーの分類など基本的な内容のみ載せておきます(ご存じの方は飛ばしてください)。
石油タンカーとは?
石油タンカーとは、原油・石油製品の輸送を行う船舶のことを言います。
原油・石油製品の輸送を行う船舶のこと
石油タンカーの分類(用途別)
石油タンカーは輸送する商品によって、①原油タンカー、②プロダクトタンカーに大別されます。
- 原油タンカー:原油を輸送する船
- プロダクトタンカー:精製された石油製品(【白物/Clean】ガソリン・灯油、【黒物/Dirty】重油・潤滑油、等)を輸送する船
※タンカーには、石油タンカーの他に特殊タンカー(化学製品を輸送するケミカルタンカー、LNGなどの液化ガスを輸送する液化ガスタンカーがあります。)
石油タンカーの分類(サイズ別)
原油タンカー、プロダクトタンカーにはそれぞれサイズ別の分類があります。
下表は、一般的な原油タンカーのサイズ別の分類です。単位:dwtは積載重量トンを表します。
(※dwt:載貨重量トン Dead Weight Tonnage の略。満載喫水線の限度まで貨物を積載したときの全重量から船舶自体の重量を差し引いたトン数。)
Tanker | Typical size(dwt※) |
---|---|
VLCC(Very Large Crude oil Carrer) | 16万-32万 |
Suezmax(スエズマックス) | 12万-20万 |
Aframax(アフラマックス) | 8万-12万 |
Panamax(パナマックス) | 5万-8万 |
下表は、一般的なプロダクトタンカーのサイズ別の分類です。
Product Tanker | Typical size(dwt※) |
---|---|
LR2 | 8万-12万 |
LR1 | 5.5万-8万 |
MR/Handy | 2.5万-5.5万 |
タンカーの分類については、出光タンカーのページも分かりやすいので、ご興味ある方はこちらをご覧ください。
TNP まとめ
はじめにまとめです。
- ツァコス・エナジー・ナビゲーション(TNP)はギリシャに本社を置く、世界的な原油・プロダクトタンカーの大手企業。
- VLCC 2隻、Shuttle 3隻、Suezmax 14隻、Aframax22隻、Panamax 11隻、MR6隻、Handysize6隻、LNG船2隻、計66隻を運航(2022年5月19日時点、TNP ウェブサイトのFleetに掲載の総数)
- 2021/12期 (通期) の売上高546百万ドル(YoY -15%)、営業利益率-5%
- ▶︎ 2021/12期(Q4)の売上高139百万ドル(YoY +6%)、営業利益率は -5%
- 2021/12期 (通期) の営業CFマージンは+10%
- 21Q4のTCE(傭船料)は$16,891/Dayと横ばい(同業他社の22Q1のTCEは大幅上昇↗️)
- 2021/12期(通期)の自己資本比率は45%、流動比率72%、固定比率207%、固定長期適合比率104%
- 22年の予想1株当たり配当は$0.20、予想配当利回りは1.8%(2022/05/18時点)
- 現在の株価は11.26ドル、PER(Fwd)4.38倍(2022/5/18時点)
決算がまだのため22Q1の業績や定期傭船料(TCE)は不明ですが、同業他社の決算・TCEを見る限り、同様の状況であれば、21Q4よりは良好な数字が期待されます。
株価は上昇しつつありますが、11ドル台で推移しています。TCEが高騰した20Q2には一時20ドルまで株価が上昇しており、TCEが高騰すれば上昇する可能性はあるかと思います。
ただし、財務の安全は高くはないことと、TCEには多くの要素が関わり変動も大きいので、注意が必要と思います。タンカー需給やTCEの変化を注視しながら投資検討をしたいと思います。
(投資は全て自己責任です。ご自身の判断と責任でお願いします。)
TNP 会社概要
TNP 基本情報
ツァコス・エナジー・ナビゲーション(TNP)はギリシャの海運会社で、世界中の主要は石油企業に原油、石油製品・LNGの海上輸送を行なっています。原油タンカー、石油製品タンカー、LNGタンカーなど幅広いタンカーを所有しています。
船舶数(フリート)
船舶数は以下の通りで、VLCC 2隻、Shuttle 3隻、Suezmax 14隻、Aframax22隻、Panamax 11隻、MR6隻、Handysize6隻、LNG船2隻、計66隻を運航(2022年5月19日時点、TNP ウェブサイトのFleetに掲載の総数)しています。
業績・財務状況
続いて、業績や財務状況を確認していきます(数値は下記リンク先のTNPのIR資料を基にしています。)
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売上・利益(年次)
年次の売上・営業利益・当期純利益は以下の通りで、2021/12期 (通期) の売上高546百万ドル(YoY -15%)、営業利益率-5%と業績は低迷しています。
売上・利益(四半期)
2021/12期(Q4)の売上・利益は以下の通りで、2021/12期(Q4)の売上高139百万ドル(YoY +6%)、営業利益率は -5%と低迷しています。
定期傭船料(TCE)の推移
業績の重要指標の定期傭船料(TCE)の推移をグラフ化しました。
定期傭船料(TCE)は、船舶の1日あたりの平均収入実績を算出するために使用される海運業界の指標です。定期傭船料は、航海収入から運河費、燃料費、港費などの航海経費を差し引き、その合計を往復の航海期間(日)で割って算出されます。
2020年前半はコロナの感染拡大で、世界的に石油需要が急減し、世界中の余剰原油の貯蔵が限界に達し、石油タンカーは海洋貯蔵施設としての需要が高まったため、TCEが高騰しています。
21Q4のTCE(傭船料)は$16,891/Dayと横ばいですが、同業他社の22Q1のTCEは大幅上昇しているため、TNPでも同様の状況であることが予想されます。
船舶や契約形態はTNPと差があるので参考ですが、例えば以下は同業他社のティーケイ・タンカーズのTCE推移です。22Q2はTCEが上昇しています。
キャッシュフロー・営業CFマージン
年次のキャッシュフローの推移は以下の通りです。2021/12期 (21F通期) の営業CFマージンは+10%となっています。
バランスシート(安全性)
2021/12期(通期)の自己資本比率は45%、流動比率72%、固定比率207%、固定長期適合比率104%となっており、安全性の観点では良好とは言えず、流動比率が低い点が気になります。
自己資本比率 | 45% |
流動比率 | 72% |
固定比率 | 207% |
固定長期適合比率 | 104% |
安全性の指標の見方が分からない方はこちらの書籍がおすすめ!
配当
22年の予想1株当たり配当は$0.20、予想配当利回りは1.8%(2022/05/18時点)となっています。
株価
現在の株価は11.26ドル、PER(Fwd)4.38倍(2022/5/18時点)となっています。
株価は上昇しつつありますが、11ドル台で推移しています。TCEが高騰した20Q2には一時20ドルまで株価が上昇しており、TCEが高騰すれば上昇する可能性はあるかと思います。
(※投資は自己責任です。ご自身の判断と責任でお願い致します。)
<リアルタイムチャートはこちら>
TNP まとめ(再掲)
最後にまとめ(再掲)です。
- ツァコス・エナジー・ナビゲーション(TNP)はギリシャに本社を置く、世界的な原油・プロダクトタンカーの大手企業。
- VLCC 2隻、Shuttle 3隻、Suezmax 14隻、Aframax22隻、Panamax 11隻、MR6隻、Handysize6隻、LNG船2隻、計66隻を運航(2022年5月19日時点、TNP ウェブサイトのFleetに掲載の総数)
- 2021/12期 (通期) の売上高546百万ドル(YoY -15%)、営業利益率-5%
- ▶︎ 2021/12期(Q4)の売上高139百万ドル(YoY +6%)、営業利益率は -5%
- 2021/12期 (通期) の営業CFマージンは+10%
- 21Q4のTCE(傭船料)は$16,891/Dayと横ばい(同業他社の22Q1のTCEは大幅上昇↗️)
- 2021/12期(通期)の自己資本比率は45%、流動比率72%、固定比率207%、固定長期適合比率104%
- 22年の予想1株当たり配当は$0.20、予想配当利回りは1.8%(2022/05/18時点)
- 現在の株価は11.26ドル、PER(Fwd)4.38倍(2022/5/18時点)
決算がまだのため22Q1の業績や定期傭船料(TCE)は不明ですが、同業他社の決算・TCEを見る限り、同様の状況であれば、21Q4よりは良好な数字が期待されます。
株価は上昇しつつありますが、11ドル台で推移しています。TCEが高騰した20Q2には一時20ドルまで株価が上昇しており、TCEが高騰すれば上昇する可能性はあるかと思います。
ただし、財務の安全は高くはないことと、TCEには多くの要素が関わり変動も大きいので、注意が必要と思います。タンカー需給やTCEの変化を注視しながら投資検討をしたいと思います。
(投資は全て自己責任です。ご自身の判断と責任でお願いします。)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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