こんにちは、やん(@yanblog3)です。
米国の製薬企業バイオマリン(BMRN)について知りたい!
そんな方に向けて書きました。
本記事では、希少疾患の治療薬に特化した製薬会社バイオマリン(BMRN)の基本情報や製品・売上構成、業績、財務状況、などについて紹介していきます。
①景気後退とヘルスケアセクター、②バイオ医薬品とは?、③バイオマリン(BMRN)について、の順で説明します。
ご興味ある方はぜひ最後までご覧ください。BMRNについて理解を深める一助になれば幸いです。
なお本記事は、育児をしながら時間を捻出して書いています。
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景気後退とヘルスケアセクター
先日、S&P500が年初の高値から一時-20%に達し「弱気相場」入りと見られています。
また、米国での急激な利上げやQTなどの金融引き締めにより、景気後退の懸念も高まってきており、セクターローテーションを考えて「ヘルスケアセクター」に注目する投資家も増えてきていると思います。
一般的にヘルスケアセクターは不況局面でも選好されるディフェンシブ株として知られています。医薬品などの必需品を扱っているため、不況期においても需要や価格が景気に左右されにくいためです。
そんな中、YoutubeやTwitterなどでも注目を集める投資家の広瀬隆雄さん(通称:じっちゃま)も下記の記事を出され、バイオテクノロジー株に注目されています。
バイオ医薬品とは?
バイオテクノロジー株について勉強する上での基礎知識として、バイオ医薬品とはそもそも何なのか?について知っておく必要があると思います。
私は医薬品の専門家ではないので、日医工のウェブサイトの説明を引用します。
バイオ医薬品とは
バイオ医薬品とは,遺伝子組換え,細胞培養などのバイオテクノロジーを応用して製造された,ホルモン,酵素,抗体等のタンパク質を有効成分とする医薬品です。代表的なバイオ医薬品として,インスリン,エリスロポエチン,インターロイキン,インターフェロン,抗体などがあります。
このバイオ医薬品の開発により,これまで低分子医薬品では十分に治療できなかったさまざまな病気の治療が飛躍的に変りました。特にこれまで治療が困難であったがんや関節リウマチなどの免疫の病気の治療に貢献しています。
バイオ医薬品は,化学合成からできる低分子医薬品に比べ分子量が大きく構造が複雑であり,細胞等を用いるため,製造工程が複雑です。
出所:日医工 バイオ医薬品とは
バイオシミラーと後発医薬品はどう違うの?
後発医薬品(ジェネリック医薬品)の有効成分は分子量が小さく,構造が単純なため,先発医薬品と有効成分が同一であることを示すことは容易です。先発医薬品と生物学的同等性が証明されれば,先発医薬品の安全性,有効性に基づき承認されます。
一方,バイオシミラーの有効成分は分子量が大きく,構造が複雑なため,同一性を示すことは困難です。そのため,先行バイオ医薬品と品質,安全性,有効性において同等性/同質性を示すことが必要です。つまり,バイオシミラーの開発においては,新薬と同様臨床試験等の多くの試験が行われます。
出所:日医工 バイオシミラーと後発医薬品はどう違うの?
この説明を読む限り、バイオ医薬品には次の特徴があると言えるかと思います。
・遺伝子組み換え、細胞培養などバイオテクノロジーを応用して製造される。
・低分子医薬品では治療できなかった病気(ガン・関節リウマチなどの免疫の病気など)の治療ができる
・製造工程が複雑である
・バイオ後続品(バイオシミラー)は低分子医薬品のジェネリック医薬品より開発工数がかかり難度は高い。
これらの説明から考えると、低分子医薬品は特許が切れた後は後発医薬品メーカーがジェネリック医薬品を発売するイメージがありますが、バイオ後続品(バイオシミラー)の場合は、開発に新薬と同様の工数がかかり難度も高いようなので、特許が切れた後も一定の”模倣され難さ”があるように思います。
まとめ
はじめにまとめです。
- バイオマリン(BMRN)は希少疾患の治療薬に焦点を当てる米国の製薬会社
- モルキオA症候群、ムコ多糖症VI、フェニルケトン尿症、軟骨無形成症などのFDA承認済みの製品を持つ
- 2021年にFDAに承認された軟骨無形成症の治療薬「Voxzogo」の22Q1の販売が好調
- 2021/12期 (通期) の売上高 1,846 百万ドル(YoY -1%)、営業利益率-4%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の売上高 519百万ドル(YoY +7%)、営業利益率は +26%
- 2021/12期 (通期) の営業CFマージンは +17%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の営業CFマージンは -9%
- 2022/03期(Q1)の自己資本比率は 72%、流動比率 488%、固定比率 84%、固定長期適合比率 66%
- 現在の株価は78.86ドル、PER(予)41.49倍(2022年5月26日時点)
BMRNはFDA承認済みの治療薬を複数持ち、売上も堅調に成長、財務的も健全で、株価も1年半以上”ヨコヨコ”という状況なので、興味は湧くものの、年次の利益はまだ赤字で、その他のバイオ銘柄($AMGN, $REGN, $IRWD, $UTHR など)と比べると悩ましいな、というのが個人的な感想です。
ただ、昨年FDA承認を受けた新薬の販売も好調で、今後黒字化する期待も持てますし、景気後退局面でバイオテクノロジー株に注目が集まる際に株価が上昇する可能性もあるので、業績や株価は注視しておきたいと思います。
本記事がBMRNについて理解を深める一助になっていれば幸いです。
(投資は全て自己責任です。ご自身の判断と責任でお願いします。)
基本情報
バイオマリン(BMRN)は希少疾患の治療薬に焦点を当てた米国の製薬会社です。
モルキオA症候群、ムコ多糖症VI、フェニルケトン尿症、軟骨無形成症などのFDA承認済みの製品を持っています。
会社概要 | |
---|---|
本社所在地 | 米国 カリフォルニア州 |
設立 | 1997年 |
事業 | 製薬 |
従業員数 | 2,849人 |
売上高 | $1,846 百万ドル(2021/12期) |
企業IR | URL |
製品・売上内訳
BMRNの製品売上をグラフにすると以下のようになります。
2021年にFDAに承認された軟骨無形成症の治療薬「Voxzogo」の22Q1の販売が好調で、約$20Mに達するなど、総売上高は前年同期比で+11%と二桁成長しています。
主要製品の「Vimizm」もYoY+15.5%、「Naglazym」はYoY+19.3%と二桁成長をしています。
下記の BMRN_Product の各製品の説明に、「初の」「唯一の」という言葉が多く使われており、希少疾患の治療薬に特化しているということもあると思いますが、独自性の高い製品が多いことが窺えます。
製品 | 概要 |
Vimizm | モルキオA症候群(MPS IVA)の治療薬 |
Naglazym | ムコ多糖症VI(MPS VI)の治療薬 |
Kuvan | フェニルケトン尿症(PKU)の治療薬 |
Palynziq | フェニルケトン尿症(PKU)の治療薬 |
Brineura | バッテン病の治療薬 |
Voxzogo | 軟骨無形成症の治療薬 |
Aldurazyme | ムコ多糖症I型(MPS I)の治療薬 |
※AldurazymeはGenzyme(現在はSanofiの子会社)との合弁会社を通じて販売
業績・財務状況
続いて、業績や財務状況を確認していきます(数値は下記リンク先のIR資料を基にしています。)
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売上・利益(年次)
年次の売上・利益は以下の通りで、2021/12期 (通期) の売上高 1,846(YoY -1%)、営業利益率-4%と、売上高は成長しているものの、営業利益はマイナスとなっています。
売上・利益(四半期)
2022/03期(Q1)の売上・利益は以下の通りで、売上高 519百万ドル(YoY +7%)、営業利益率は +26%と、売上も成長しており、四半期ベースではありますが営業利益もプラスになっています。
注意点は、2021年のVoxzogoのFDA承認に関連して受領した優先審査申請権(PRV)を2022年第1四半期に売却したことによる「非金融資産売却益」$108M が計上されている点です(下記10-Q参照)。これを除いた場合、営業利益率は約 5.6%程度になります。
キャッシュフロー
年次のキャッシュフローの推移は以下の通りです。2021/12期 (通期) の営業CFマージンは +17%と、営業CFマージンが年々上昇してきています。
バランスシート(安全性)
2022/03期(Q1)の自己資本比率は 72%、流動比率 488%、固定比率 84%、固定長期適合比率 66%と、安全性は良好な状態にあると言えます。
自己資本比率 | 72% |
流動比率 | 488% |
固定比率 | 84% |
固定長期適合比率 | 66% |
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株価
現在の株価は 78.86 ドル、PER(予)41.49 倍(2022年5月26日時点)となっています。
※PER(予)はYahoo finance の Forward P/E の値を参照
出所:Trading View
<リアルタイムチャートはこちら>
まとめ(再掲)
最後にまとめ(再掲)です。
- バイオマリン(BMRN)は希少疾患の治療薬に焦点を当てる米国の製薬会社
- モルキオA症候群、ムコ多糖症VI、フェニルケトン尿症、軟骨無形成症などのFDA承認済みの製品を持つ
- 2021年にFDAに承認された軟骨無形成症の治療薬「Voxzogo」の22Q1の販売が好調
- 2021/12期 (通期) の売上高 1,846百万ドル(YoY -1%)、営業利益率-4%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の売上高 519百万ドル(YoY +7%)、営業利益率は +26%
- 2021/12期 (通期) の営業CFマージンは +17%
- ▶︎ 2022/03期(Q1)の営業CFマージンは -9%
- 2022/03期(Q1)の自己資本比率は 72%、流動比率 488%、固定比率 84%、固定長期適合比率 66%
- 現在の株価は78.86ドル、PER(予)41.49倍(2022年5月26日時点)
BMRNは、FDA承認済みの治療薬を複数持ち、売上も堅調に成長、財務的も健全で、株価も1年半以上”ヨコヨコ”という状況なので、興味は湧くものの、年次の利益はまだ赤字で、その他のバイオ銘柄($AMGN, $REGN, $IRWD, $UTHR など)と比べると悩ましいな、というのが個人的な感想です。
ただ、昨年FDA承認を受けた新薬の販売も好調で、今後黒字化する期待も持てますし、景気後退局面でバイオテクノロジー株に注目が集まる際に株価が上昇する可能性もあるので、業績や株価は注視しておきたいと思います。
本記事がBMRN について理解を深める一助になっていれば幸いです。
(投資は全て自己責任です。ご自身の判断と責任でお願いします。)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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