石油・天然ガス・タンカー銘柄への投資に興味がある。
色んな銘柄の数字を知りたい。
そんな方に向けて書きました。
本記事では、石油・天然ガス18銘柄、石油・LNGタンカー8銘柄、石油サービス4銘柄、の計30銘柄の数字について紹介します。
- ①なぜいま石油・天然ガス・タンカー銘柄が注目されるのか?
- ②石油・天然ガス・タンカー30銘柄
の順で紹介します。
(※投資は自己責任です。ご自身で情報を精査し、ご自身の判断と責任でお願い致します)
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なぜいま石油・天然ガス・タンカー銘柄が注目されるのか?
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ロシアで多く生産されている穀物、石炭、石油などの価格が高騰していることはご存知のことと思います。
ウクライナ侵攻に対して各国がロシアに対する経済制裁を発表し、すでに木材・鉄鋼・石炭などの輸入禁止を決めた国々もありますが、今後、石油も制裁対象になる可能性があります。
例えば、ドイツはロシアからの原油輸入を年内に停止すると発表しました。また先日、ロシア側がポーランド、ブルガリアに対する天然ガスの供給を停止しました。
これらの状況と、石油・天然ガス・タンカー株が注目される理由を数字で確認していきます。
ロシアの原油の輸出量・輸出先
まずはロシアの原油・石油製品の輸出量と輸出先について確認したいと思います。
下図は各国の原油生産量のグラフ、下表は2019年のロシアの原油生産量とシェアを整理したものになります。このデータから2019年時点のロシアの原油生産量は世界の12.1%と、世界有数の石油生産国であることが分かります。
分類 | 国 | 生産量(1,000バレル/日) | シェア(%) |
---|---|---|---|
非OPEC | 米国 | 17,045 | 17.9% |
ロシア | 11,540 | 12.1% | |
カナダ | 5,651 | 5.9% | |
中国 | 3,836 | 4.0% | |
ブラジル | 2877 | 3.0% | |
Others | (・・・) | (・・・) | |
OPEC | サウジアラビア | 11,832 | 12.4% |
イラク | 4,779 | 5.0% | |
UAE | 3,998 | 4.2% | |
イラン | 3,535 | 3.7% | |
クウェート | 2,996 | 3.1% | |
ナイジェリア | 2109 | 2.2% | |
カタール | 1,883 | 2.0% | |
Others | (・・・) | (・・・) | |
Total | 95,192 |
次に、ロシアの原油・石油製品の輸出先を確認します。
下図の右側はロシアの輸出品目の割合と(2021年12月)を表しています。原油(Crude Petroleum)18.9%、石油精製品(Refined Petroleum)14.4%と、ロシアの輸出品に占める原油・石油製品の割合が高いことが分かります。
下図の左側はロシアの原油・石油製品の輸出先を表しています。ロシア原油・石油製品の輸出先の約半数は欧州であることが分かります。
ロシアの原油・石油製品の輸出量は世界有数で、輸出先の半数が欧州という前提の中で、今後もしEUがロシア原油を輸入禁止にしたら何が起こるでしょうか。
まず従来のロシア→欧州の輸出量が大量なので、原油の供給が逼迫して原油・石油製品の価格は高騰・高止まりする可能性があります。
またロシア原油の代替として北米・南米・中東などからの原油・石油製品の輸入(石油タンカーで輸送)が必要になる可能性が高いです。
そうなれば、石油タンカー需要は旺盛になりますし、長距離輸送の受注も多く入るため石油タンカー株にとって追い風になると考えられます。
また先日、ロシア側からポーランド・ブルガリアへのガス供給を停止する動きもあったように、天然ガスの需給関係も逼迫する可能性があり、そうなれば天然ガス価格が高騰し、天然ガス銘柄にとってもプラス材料となります。
こういった背景から石油・天然ガス・タンカー銘柄は注目されており、今後の動向次第では更に株価が上昇する可能性もあります。
原油・天然ガス価格
原油・天然ガス価格の推移も確認しておきます。
原油価格(WTI)は一時120ドル前後まで上昇していましたが、いまは100ドル前後まで推移しています。
天然ガス価格(Henry Hub)はかなり高騰しており7.2ドル前後で推移しています。
「なぜいま石油・天然ガス・タンカー銘柄が注目されるのか?」は以上です。
石油・天然ガス18銘柄
石油・天然ガス関連18銘柄の数字(2021年)を確認していきます。
ここからの数字は各社IR資料を基にしていますが、単位の換算などにより多少の誤差が出る可能性がありますがご了承ください。
詳細を確認したい方は各社のIR資料をご確認ください。
No. | ティッカー | 国 |
---|---|---|
1 | XOM | 米国 |
2 | SHEL | 英国/オランダ |
3 | CVX | 米国 |
4 | BP | 英国 |
5 | PBR | ブラジル |
6 | COP | 米国 |
7 | OXY | 米国 |
8 | PXD | 米国 |
9 | DVN | 米国 |
10 | YPF | アルゼンチン |
11 | HES | 米国 |
12 | EQT | 米国 |
13 | FANG | 米国 |
14 | SWN | 米国 |
15 | AR | 米国 |
16 | CLR | 米国 |
17 | CPE | 米国 |
18 | KOS | 米国 |
売上・利益(2021/12期)
各社の売上・営業利益・営業利益率は以下の通りです。
売上の規模が異なるので、上位6社とその他を分けてグラフにしています。
財務諸表の読み方が分からない!そんな方にはこの書籍がおすすめ!
※1USD = 115 ARS(アルゼンチンペソ)で換算
営業CF・営業CFマージン(2021/12期)
各社の営業CF・営業CFマージンは以下の通りです。
売上の規模が異なるので、上位6社とその他を分けてグラフにしています。
株価の変化
2020年初頭を基準とした株価の変化は以下の通りです(黒線はWTI価格)。
WTI価格が約70%上昇しているのに対して、中には2020年初頭の水準まで戻っていない銘柄(変化率がマイナス)もあることが分かります。
石油&天然ガスの生産量(2021)
各社の石油・天然ガスの生産量を、BOE(石油換算バレル)で換算して足し合わせたものが下のグラフになります。
このグラフから各社の生産量の規模と、生産量(原油:Oil、天然ガス液:NGL、天然ガス:Natural Gas)の比率がわかります。
※SHEL:Oil/NGL/Natural Gasの内訳データが見つからなかったため全量Oilでグラフ化
※EQT:Oil/NGL/Natural Gasの内訳データが見つからず大部分がGasなので全量”Gas”としてグラフ化
※”Oil&Gas”としてIR資料に記載があった銘柄(CVX, BP, PBR)は”Oil”にとしてグラフ化
- 1バレル(159リットル)の原油を燃焼させたときに生じるエネルギーを1ユニットとしたもの
- BOEの換算はShellの用語集の数値(天然ガス量5,800scf→1バレル)で換算
石油 ・天然ガス生産量の比率(2021)
先ほどのグラフでは生産規模の小さな銘柄の生産量の比率が分かりづらかったため、パーセントで示したグラフを作成しました。
これらの生産量の比率は、石油や天然ガスの価格・需給の動向を見ながら、どの銘柄に関係がありそうかを考える上で役立つかと思います。例えば、天然ガス価格が高騰しそうであれば、天然ガス比率の高い銘柄を検討してみるなど、自分で考えるための材料になるかと思います。
※SHEL:Oil/NGL/Natural Gasの内訳データが見つからなかったため全量Oilでグラフ化
※EQT:Oil/NGL/Natural Gasの内訳データが見つからず大部分がGasなので全量”Gas”としてグラフ化
※”Oil&Gas”としてIR資料に記載があった銘柄(CVX, BP, PBR)は”Oil”にとしてグラフ化
原油の平均販売価格(2021)
原油の平均販売価格は以下の通りです。
2021年の原油の平均販売価格は60ドル台の銘柄が多く、現状のWTIは100ドルを超えているため、2022年を通して原油価格が高止まりしていれば、石油関連銘柄は2021年以上に恩恵を受けることになりそうです。
会社によってIR資料の記載方法が異なり、参考値としてご覧ください。”Average Realized Price (平均実現価格)”という1つの数字のみ記載している企業と、加えて”Average Realized Price, hedged(ヘッジ込み)”も記載している企業があります。「ヘッジ込み」の数値の記載がある銘柄は、「ヘッジ込み」の数値でグラフ化をしています。
天然ガスの平均販売価格(2021)
天然ガスの平均販売価格は以下の通りです。
2021年の天然ガスの平均販売価格は3-5ドル台の銘柄が多く、現状の天然ガス価格は7ドルを超えているため、2022年を通して天然ガス価格が高止まりしていれば、天然ガス関連銘柄は2021年以上に恩恵を受けることになりそうです。
会社によってIR資料の記載方法が異なり、参考値としてご覧ください。”Average Realized Price (平均実現価格)”という1つの数字のみ記載している企業と、加えて”Average Realized Price, hedged(ヘッジ込み)”も記載している企業があります。「ヘッジ込み」の数値の記載がある銘柄は、「ヘッジ込み」の数値でグラフ化をしています。
平均生産コスト(2021)
平均生産コストについてもグラフ化して見てみます。
EQT、ARは生産量のうち天然ガスが占める割合が多く、平均生産コストも低くなっていたため軸を分けて(緑色:右軸)グラフ化しました。
平均生産コストは5-15ドル前後まで幅がありますが、10ドル前後の銘柄が多く、原油価格が100ドル前後で推移すれば大きなマージンを取れることが分かります。天然ガスの生産がメインの銘柄も、天然ガス価格が7ドル前後で推移するのであれば大きなマージンを取れることが分かります。
会社によってIR資料の記載方法が異なり、数字が表すものが異なる可能性がある点に留意いただき、参考値としてご覧ください。「Average Production Cost(Total)」の記載がある銘柄はその数値を使用しています。それ以外の銘柄は、「lease operating expense(リース営業費用)」「Gathering, transportation and processing (収集・輸送・生産)」「Production and ad valrem taxed(生産・付加価値税)」等の費用を足した数値です。減価償却費は含めていません。
株価チャート
SHEL
BP
XOM
CVX
PBR
YPF
HES
CLR
SWN
KOS
PXD
FANG
AR
TRMD
CPE
OXY
「石油・天然ガス関連18銘柄」の数字は以上です。
石油・LNGタンカー8銘柄
石油・LNGタンカー8銘柄の数字を確認していきます。この8銘柄については簡単な紹介に留めます。
詳細は下記の関連記事をご覧ください。
No. | ティッカー | 分類 | 国 |
---|---|---|---|
1 | TNP | 原油タンカー | ギリシャ |
2 | TNK | 原油タンカー | 英国/バミューダ諸島 |
3 | EURN | 原油タンカー | ベルギー |
4 | NAT | 原油タンカー | 英国/バミューダ諸島 |
5 | TRMD | プロダクトタンカー | 英国 |
6 | STNG | プロダクトタンカー | モナコ公国 |
7 | GLNG | LNGタンカー | 英国/バミューダ諸島 |
8 | FLNG | LNGタンカー | 英国/バミューダ諸島 |
\ 保有タンカーの例 /
EURN | NAT | TNP | TNK | TRMD | |
---|---|---|---|---|---|
VLCC | 44 | – | 2 | 1 | – |
Suezmax | 30 | 22 | 14 | 25 | – |
Aframax | – | – | 22 | 10 | – |
Panamax | – | – | 11 | – | – |
LR2 | – | – | – | 9 | 10 |
LR1 | – | – | – | – | 8 |
MR / Handy | – | – | 12 | – | 43 |
\ 石油タンカー 関連記事/
売上・利益(2021/12期)
各社の売上・営業利益・営業利益率は以下の通りです。
営業CF・営業CFマージン(2021/12期)
各社の営業CF・営業CFマージンは以下の通りです。
株価の変化
2020年初頭を基準とした株価の変化は以下の通りです(黒線はWTI価格)。
自己資本比率
各社の自己資本比率は以下の通りです。
株価チャート
NAT
TNK
EURN
TNP
TRMD
FLNG
石油サービス4銘柄
石油サービス4銘柄の数字を確認していきます。この4銘柄については簡単な紹介に留めます。詳細は関連記事をご覧ください。
売上・利益(2021/12期)
各社の売上・営業利益・営業利益率は以下の通りです。
営業CF・営業CFマージン(2021/12期)
各社の営業CF・営業CFマージンは以下の通りです。
自己資本比率
各社の自己資本比率は以下の通りです。
株価チャート
FTI
SLB
HAL
RIG
最後に(お願い)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
正直に言うと、今回の記事に使うための数字を調べる作業は苦行でした😂。
30銘柄のIR資料(英語)を1つ1つ数字を探して確認していくので相当時間を使いました。育児と並行なので本当に疲れました。
情報量が多く、かつ単位の換算もあるので誤記・誤差があるかも知れませんが、気になる部分は各社のIR資料をご確認ください。
本記事が石油・天然ガス・タンカー銘柄の理解を深めるために役に立っていれば幸いです。
この記事は、初めての育児に苦戦しながら捻出した時間で調べて書いています。
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